特集の中で是枝裕和や蜷川実花が秋元康のことを語っているのだが、プロデューサーとして、各クリエイターにすべて任す、という態度が一貫していることが知れる。
蜷川実花は『ヘビーローテーション』であの下着姿のジャケット写真とPVを手がけたのだが、そのときのことをこう語っている。
女だから撮れる感じで、下着姿だったり枕投げをしたりイチャイチャしてる感じを出したいって。『もしかしたらホッペにチュウとかもいいかな?』とかモジモジしながら言っていたら『あ、全然いいですよ。やってください』って言われて。『蜷川さんがここまでやっていいのかなって思っている以上にやっていいです』っておっしゃったんです。それはさすがだなって思いました。どんな監督さんにも秋元さんは『とにかくお任せします』っておっしゃるそうなんですけど、それだけじゃなくて、私がモジモジしているところも一瞬で見抜かれてたんです。そして『全部やっていいです』って、背中を押してもらえた。
是枝裕和は、『桜の木になろう』のミュージックビデオを監督したのだが、その際も同じようなエピソードがあったという。
まず驚いたのは、全部任せるって言われたこと。普通だったら、『今回はこういう歌で、このコをフィーチャーしたいから、こういう話にしてほしい』とかあるのかなって思ったんです。いくらなんでも、何らかの指定はあると思った。でも、それもまったくなかった。誰でもいいって。一応歌っているメインはこの16人なんだけど、別のコを選んでもいいと。もっと言えば、AKB48のコが出ていなくてもいい。別の役者で作っても構わない、と。話も全部任せるから、好きにやってくださいって。とにかく一切口出しはなかったです。
このプロデューサーとしての態度。アイドルが所属する各事務所に一切確認なんかとっていないだろうが、下着だろうがキスしようが全然構わない。ミュージックビデオに誰もAKBが出ていなくても構わない。プロデューサーである俺が任せたクリエイターがやりたいことをやらせる。アイドルサイドも事務所サイドも関係ない。プロデューサーである俺が決めれば、そうなる。その自信と自負が、各クリエイターへの「お任せ」につながっている。AKB48という日本最大のアイドルグループにおいて、その地位を築いた秋元康の凄みを感じるではないか。